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Project Unlonely [Books]

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自分の意志で1人でいることと孤独とは全く別のもの。
日本語で言うと孤独と孤立との違いでしょうか。英語では少々ニュアンスが違いますが。

心理学的に孤独を感じる要素として、高齢化(病気、体の不調により自由に動けない)ジェンダーギャップ(ゲイ、レスビアン等)またはトラウマ(兵役体験、レイプ、虐待等)等が揚げられ、他人またはグループと一緒に楽しむことができない。
そしてCOVID-19が発生し、家族や親しい人々とも簡単に接触する事ができず”孤独”状況に陥った人々が急上昇。それ以前より警告していた”UnLonely Project"は要因分析と実例、対処法が分かりやすく説明されています。

プロジェクトで勧められていることの1つがアート。言葉では説明できない感情が絵を描くことやモノを造り出す事により表現され癒されていくのです。惨事で大きなショックを受けてしまった子供達や兵役従事でトラウマを背負っている人々の実例が挙げられています。

興味深いエピソードに、ある日著者がニューヨークの地下鉄駅ホームで列車を待っている時に声をかけてきた女性が。その理由は「唯一アナタだけがスマートフォンを見ていなかったから」

孤立とは敢えて人々が選んでいる自由時間でもあるのです。
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All the Sinners Bleed [Books]

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過去数十年において殺人事件はわずか2件という平和なVirginia州Charonにて黒人初の保安官として働くTitus Crown. 就任1年後に地元の人々から信頼されている教師が元生徒によって襲撃され、そして彼はTitusの同僚に撃たれる。
Titusと部下達は事件を調査するうちに、隠された恐るべき殺人事件を発見、その犯人を追う事に。
平和な街に埋もれていた恐るべき事実が広まるにつれ、白人コミュニティと黒人コミュニティとの差が表面化しTitusへの噂や評価も口伝に流れていく。犯人はどうやら地元の教会と関係があるらしいことを突き止めたTitus自身は子供の頃に母親を亡くしたトラウマを封じており、事件を追及していくにつれ様々な感情、FBIエージェントとして勤務していた過去と闘うことに。

最初の数ページから直ぐに惹きこまれたこの本、FBIエージェントとしての訓練を受けているTitusの鋭さが物語を深めていくと同時に生身の姿のギャップも語られているのが共感を呼びます。
殺人事件や犯人とのコミュニケーションに聖書の一節が絡んでくるのが恐怖心を掻き立てていきます。

読み応えたっぶりの内容に大満足。同じ著者の別作品を早速図書館に予約しました。
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Hidden Potential [Books]

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可能性を測る真の尺度とは到達点の高さではなく、そこにたどり着くまでどれだけ登ったかということ。

Adam Grant著"Hidden Potential" は様々な実例ー黒人初のチェスプレーヤー、遅咲きのプロ野球選手、耳の聞こえないプロパーカッショニスト、等々を揚げ、彼等が如何にその道を切り開いたかを語っています。日本の建築家安藤忠雄氏の例も揚げられています。
彼等は入学試験や面接に不合格、または教育システムにそぐわないと拒絶された人々も多く、その経験や失敗から多くを学び、諦めずに継続した点も。

自己啓発本は読みやすさもポイントの1つ。この本、とにかく読みやすい。更に著名なプロ選手等の名等が出てくると更に興味が深まるのです。流石New York Timesベストセラー著者、読者を引き付ける技も大いに心得ています。

本だけでなくTEDやPodcastでも大活躍のAdam Grant、読む、聴く、観るとお好きな方法で楽しんで下さいね。
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The Postcard [Books]

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いつも楽しみにしている読書家マダムのブログから知った”The Postcard”。早速図書館で予約をすると何と12週待ち!ところが時折1週間限定で貸出可能メッセージが送付されることがあり、この本もその対象に。早速借りてきました。

2003年に届いた差出人不明のポストカード。そこには第二次世界大戦中アウシュビッツで亡くなった曾祖父母とその子供達の名が記されているだけ。Anneは母親Leliaと共にカードを巡って封じられた家族の歴史をたどっていく。
一方Anneの6歳の娘は学校でクラスメートから「みんなユダヤ人はあまり好きじゃない」と突き放される。奇しくも同じ経験を10歳前後で体験しているAnne(著者)と彼女の母親。時代を超えてもユダヤ人に対する対応は大差がない。彼等の歴史を知っての行為なのか、単なるステレオタイプに従っているだけなのかは別として。

家族の歴史を手繰っていく中、フランス人として教育を受け、伝統的なユダヤ人家庭ではなかったAnneは自身をユダヤ人とは深く認識しないまま成人となり、ユダヤ人の集まりで祈りの言葉も全て解せず「都合の良い時だけのユダヤ人」と指摘される。

5世代に及ぶユダヤ人文化。封印された事には大きな理由があったのです。
母親の愛情が薄く孤独な子供時代を過ごしたLelia、過去を語らなかった母親の事情を理解するには数十年の時間がかかってしまったのが何とも悲しい。

読み始めたら止まらなくなり、3日で読み終えてしまいました。
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The Exchange [Books]

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Mitch & Abby McDeereはその後どのような人生を送っているのか?

1993年作”The Firm”はTom Cruise演ずるルーキー弁護士Mitch McDeereの活躍に目を見張った人も多いのでは。著者John Grishamは弁護士でもあるので、詳細に亘る描写がとてもスリリング。

The Firmで弁護士として働き始めたMitchは事務所の隠されている事実を発見し、自身は巻き込まれることなく無事に回避する。現在はNew Yorkの法律事務所のパートナー、Abbyはグルメ料理本の編集者。双子の息子たちに恵まれて忙しくも充実した日々を送っている。イタリア・ローマに住むメンターから依頼された件を承諾したMitchは思わぬ展開に巻き込まれる。

後は読んでのお楽しみ。流石John Grisham, page turnerです。
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What My Bones Know [Books]

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ラジオプロデューサーとして活躍中のStephanie Fooは時折パニック症候群や毎朝涙が止まらない等に悩まされ、セラピストから診断されたのはCPTSD Complex PTSD - 複雑性心的外傷後ストレス障害。長きにわたるストレスやトラウマが原因の症状。ヨガや瞑想、数種のセラピーを試し、症状緩和のために自身でも調査を始める。

マレーシア生まれのStephanieは幼少の頃両親と共にアメリカに移住、子供の頃より両親、特に母親から体罰や罵声を浴びせられる日々を体験。彼女が13歳時に両親は離婚。その後は自分自身を守る為に心を閉ざしていく。
彼女の両親にも夫々の過去があり、更にアメリカ移民としての厳しい体験が重なり、おそらくそのストレスが子供に向けられたのでは、と読む側は考えるけれどそれは複雑な状況なのです。

Stephanieは自身が通っていたカリフォルニアの母校を訪れ、教師や元同級生にインタビューをする。アジア系移民の子供達は多かれ少なかれ両親から体罰を受けているという事実。そして移民の国アメリカで良い立場になるには高成績を取るべき、と叱咤激励されて育てられるのが殆ど。ハグやキスの習慣が無い両親達は子供への愛情表現にも乏しく、様々なイベントで見られるアメリカ人同級生の親達がギュッと子供達を抱きしめる様子との違いに孤独感を覚える子供達。

またアジア系の人々の特徴「長老の顔を立てる」「家族の暗い過去や事実を隠す」等も重なりStephanieの質問に簡単には答えない親類の人々。移民の子供達のもどかしさが垣間見られます。

CPTSDを克服するまでの一般人の記録としては貴重だけれど、口語的表現が多く、F-wordが何百回出てきたか数えたい程の低度な文章表現にがっかり。おそらくラジオパーソナリティ、インスタグラム、Podcast向けの表現なのでしょうが、本として読むには途中で投げ出したくなるほどでした。

トラウマについての本と言えばDr. Van Der Kolk著The Body Keeps The Scoreをおススメします。
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The Invisible Kingdom [Books]

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頭痛や眩暈、継続的な倦怠感、時折電源ショックを浴びたようなパニック状態、と原因不明の病に侵された場合、あなたならどうする?

著者Meghan O'Rourkeは自身で調査を行い、出来る限りの治療法を試していく日々の記録The Invisible Kingdom。病名不明の病はまさに目に見えない暗闇。彼女はそのストレスを夫にぶつけると
「病と闘っている君を目の前にして、何もできないでいる僕の事を考えた事がある?」とつぶやく。

読み進んでいるうちに、このカップルは離婚するのでは?と心配した程。
ありとあらゆる試行の後、感染症のひとつライム病であることを発見。専門医の処置により体調はゆっくりと改善に向かっていく。2人は離婚することなく、その後2人の子供に恵まれる。

大きな病気や手術の経験もなく、特別酷いアレルギーを持たない健康体の私にはまさに目からウロコの情報。ページをめくってもめくっても彼女の体調は改善しないので、読んでいるうちに気が滅入ってくるほど。本篇の後には100ページ以上に及ぶ関連医学情報リンクが添付されています。

闘病記録なので彼女を支える人々の事には殆ど触れられていません。彼女の夫には心から同情します。
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Abundance [Books]

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財政面、人間関係、仕事のストレス等に振り回された時、「もしXXだったらハッピーになるだろう」と想像してみると気分がラクになる。でも実は全く解決されていないのです。

医学博士Deepak Chopra著 Abundanceー豊かさは自身の中にあるもの。
ヨガや瞑想の概念に深いChopra氏は問題への気づきと、角度を変えた見方へのトレーニングを提示しています。この本では多くの質問事項で自分の傾向を発見し、より良い方向へ導くヒントが掲載されています。

チャクラをご存じでしょうか?サンスクリット語で「回る」意味を持ち、人体には7つのチャクラがあり、これを基本としてエネルギーが絶えず回り活力を生み出すという考え方。
上記の悩みや問題に対して、チャクラをしっかりと使ってエネルギーを集中させる、という考え方は瞑想に通じるものがあります。1つ1つのチャクラについて分かりやすく説明されているのが読みやすい。

中でもI am enough という言葉から始まる箇所にはハッとさせられました。
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The Midnight Library [Books]

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過去を悔やみ、答えのない将来に不安を抱いている人々は時に今日、今という時間を忘れています。

生きている事に疲れたNoraは学校図書館員のMrs. Elmに誘われ生と死の狭間にあるThe Midnight Library(真夜中の図書館)から彼女の人生に関わる本を選んでいきます。
それは現実ではなく仮想の世界。でも登場人物は結婚直前で別れたボーイフレンドや突然の事故で亡くなった友人。そして彼女自身は子供の頃に諦めた水泳からオリンピック選手へ、またはオックスフォード大学で哲学教師となっていたり、と過去の経験に繋がった別人に変化しているのです。

誰もが「あの時もっとXXしていれば」「あの時彼にXXと言わなかったら」と過去の過ちを悔やむことは多いでしょう。でも過去を変える事は出来ないのです。そしてWhat if...と仮定してみても答えは出ない。
居心地の良い世界に身を置きたいと思いつつも、それは架空の世界であると分かっているNoraは現実に戻り、少し疎遠になっていた弟に心からのアドバイスを送ります。
「悩むより、とにかく今の人生を生きる事よ」
それはNoraから彼女自身への大きなエールでもあります。

Live your life.
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The Good Life [Books]

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1938年より開始されたハーバード大学成人学科調査は数十年に亘って各人に定期的に生活状況や近況を訪ね、参加者はその子供達にも及ぶ膨大な流れ。科学的実験ではなく実際の人々には夫々の人生の物語があるのです。
The Good Life”は調査結果だけでなく、夫々の人々の状況から得た結果を元に家族やパートナーとの関係、友人を持つことが如何に人生に大切か、等を提案しています。

調査に参加した人々のバックグラウンドは様々。世界恐慌を体験した両親に生まれた人、特別親しい友人は無かったのに調査をきっかけに友情が育まれたケース等々。その殆どがアメリカ東海岸に住む白人だけれど、1件のみシリア難民の男性ケースが取り上げられていました。
彼は学校では特別問題なく過ごしたものの常に劣等感を抱えており、親しい友人はいない。卒業後は従兄が経営するトラック事業に参加したので新しい同僚との出会いもなく、1人静かにトラック運転業務に従事。事業は順調に展開し、経済的理由から転職するタイミングを逸し40代を迎え「あの時ガッツがあれば違った人生を送れたに違いない」と振り返る。

友人や近所の人々との付き合いもなく静かな人生を送っていたBob、60歳で離婚後は奮起して近所のコミュニティセンターのイベントに参加。回を重ねるうちに気の合う人々と出会い、友情が生まれ80歳の現在では日々忙しく過ごしている。

1つ1つのエピソードがとても分かりやすく、まさに人生はドラマだなとページをめくるのが楽しくなりました。数十項目ある調査質問の中に「一緒にいて心休まる人は?」「アナタの事を一番良く理解している人は?」等の質問もあり、今の私には誰だろう、と考えたり。

友情についてブッダの言葉が取り上げられていました。弟子のアナンダが
「善き友人を持つことは修行の半分ですね」と言ったところ、ブッダは
「いや、アナンダ、善き友を持つことは、仏道修行のすべてなのです」

年を重ねても良き人生は広がっているのです。
It is never late to be happy!
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