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The Tenth Nerve [Books]

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患者のケースより人生を学んだ、という神経外科医Dr. Honey著”The Tenth Nerve”.

大学に属する医師達は日々患者に対応するだけでなく、医学生、研修医の指導、調査、研究論文発表、セミナー等への参加、指導、そして朝7時開始の手術日は6時頃出勤、日によっては深夜にコールで呼び出されることも多く多忙を極める日々。その中で本を出版する時間をどのように捻出したのかは想像できません。

実はDr. Honeyは昨年より私のボス。Vancouverだけでなく世界中より症例発表やミーティング、そして実際に現地の手術に立ち会っています。この本は数千件施術した中の7症例を詳しく語っています。

いつも不思議に感じていたのは神経手術医達のメンタルタフネス。どのように自身をコントロールして最善の治療を施しているのか。医学生達は患者とのコミュニケーションには感情移入しすぎないように指導されています。実際症例を検討する際も名前ではなく「40歳男性、既往歴あり」という感じで名前を除いて発表されていきます。

Dr. Honeyは手術成功を問題解決と同様に例えています。ところがカナダ以外の国々の患者に携わった際に学んだ習慣の違い、また長年の咳に悩まされていた患者に耳を傾け、原因となる神経を処置したところ咳は止まり彼等の人生が変わった実例等々が語られています。

治癒不可能な腫瘍をもったリベリアの9か月の幼児に対し、手術チームは幼児の母親は村の人々から子供は悪の呪いでこのような事態になり、ほぼ村八分状態。彼女の人生を救うためにもこの手術は必要なのだと説得します。
治癒不可能な患者への手術を敢えて行うという決断を迫られたDr. Honeyは医師達は敢えて不成功の道を取ることも必要で、常に患者を助けるべきと語っています。

手術の歴史から聖書やダヴィンチの整体図まで及ぶDr. Honeyの知的好奇心の深さが垣間見え、随所に散りばめられたユーモアに思わずニヤリ。
いつも多忙でゆっくりと話す機会が難しいけれど、彼を身近に感じた1冊。

現在バンクーバー及び近郊の図書館より貸出可能。私はebookで楽しみました。
夏休みの読書にぜひ。

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