レター教室 [Books]
日本の文庫本はポケットにそっと入るほどの大きさ。手のひらサイズとも言えるその大きさの中身の深さに泣き笑い。人生をがらりと変える程の言葉にであることもある。
三島由紀夫「レター教室」。帰路の成田空港への車内であっという間に読み終えてしまいました。この人こんなに面白い作品を書いていたとは!
年齢や職業の違う男女5人が織りなす手紙のやりとり。内容はもちろんのこと、文章の長さや文字の美しさ(汚さ)からも背景が面白いように見え隠れするのです。直接対話ではない間接対話の凄み。
誰が送信しても同じ印象となるテキストメッセージとは大いに異なる約50年前の人々新鮮な印象で飛び込んできます。
人物紹介からして大笑い。元美人の英語塾の経営者ママ子、有名なデザイナー、つつけばピチピチと音がしそうな20歳のOL、演出家を目指す青年、まるまる太った貧乏学生(OLの従弟)。
女性は年齢に関係なく策略家。男女の辛みに話題は事欠かない。直接会って話せばよいのに「同性への愛の告白」や「肉体的な愛の申し込み」はたまた「心中を誘う手紙」まであるのだから。
中年のおばさんとなるのを恐れているママ子さんが妙に近しく思える。私も加わるとすればこんな自己紹介で。
那須賀ママ代 50歳
ママ子とは「便りのないのは良い便り」間隔の付き合い。自称ワイン好きだけれど飲んだそばから銘柄を忘れる。インド出身のボーイフレンドと暮らしているので自宅料理はほぼ毎日カレー。ニッと笑うと前歯が黄色く輝いているのを本人は気づいていない。ママ子とトビ夫の仲を秘かに応援している。
さて、まずは誰に手紙を送りましょうか。
2018-06-05 13:00
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コメント(2)
私もこの本、大好きです!最高にユニークで最高傑作だと思っています。三島由紀夫が日本人離れしているのがこういった本で感じます。
by ラパン (2018-06-06 22:43)
ラパンさん
まさに最高傑作!よね。確かに彼が国際的感覚を持っていたことが随所に現れていますね。読書の楽しさを大満喫しました♪
by cecileyvr (2018-06-07 10:39)