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Life with grief [Books]

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大切な人を失った後の喪失感は人それぞれ。最近読んだ本は偶然にもアジア系アメリカンの著書が続きました。

台湾出身の両親の元に生まれたHua Hsu。両親の生い立ちからアメリカへの移民体験、そしてその後の人生と自身の少年時代、青春時代が綴られていきます。楽しい大学生活の中、突然親友のKenが殺害されてしまうのです。Kenは外向的な日系アメリカ人。台湾出身の家族に生まれ内向的なHsuとは相反する性格だけれど静かに友情が育っていた矢先での事故。その後Hsuは自分の感情や出来事を文章に残そうと決意します。Kenへのオマージュと共に、Hsu自身もこの本を完成した時に長年の想いから解放されたに違いありません。

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アメリカ オレゴン州に住む白人夫妻の韓国人養子として育ったNicole Chung。移民または2世、3世の子供はその容姿の違いからステレオタイプで差別されることも多い中、Nicoleの場合は両親とは違う肌の色や「本当の両親を探す」と宣言したり、と多感な子供時代を過ごしていきます。
東海岸の大学奨学金を獲得したNicoleは両親の元を離れ、新生活を始めます。大学では将来の夫と出会い新たな家庭を築き始めます。そこで彼女が改めて実感したのは両親の愛。卒業後は文筆業、そして子育てと多忙な中彼女の父親が病に倒れます。長年の糖尿病悪化による腎臓疾患。

アメリカ医療制度は隅々まで浸透しておらず、莫大な診療代が医療保険でカバーされない場合は気軽にクリニックに行くこともできない。まさに彼女の父親もその該当者だったのです。

父親の死後からわずか数か月後、母親に子宮がんが発見され治癒されたと判断された後、新たながんが発見。体全体にがん細胞が繁殖してしまっていたのです。COVID-19 pandemicが始まった時期でもあり、子供達のリモート学習の世話、夫とともに自宅でのリモートワーク、そしてホスピスに移った母親に会いに行くこともできず、葬儀もヴァーチャルで参加することに。

日々揺れ動く心、そして彼女を取り巻く環境や家族達との交流が細かく綴られた回顧録は、苦しい現在から突然子供時代の楽しい思い出に飛んだりと、読者を飽きさせません。

2020年3月にダーリンを亡くした私にとって、Nicoleと病に倒れた母親との心の通う日々のやりとりに、私ももっと何かできたはずなのに何もしてあげられなかった、とCOVID-19とホスピスというまさに同じ状況に色々な想いが蘇ってしまいました。
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